子どもの「なぜ?」にすぐ答えなくていい。家庭で使える3つの逆質問

「ママ、どうして空は青いの?」

「ねえ、なんでアリは一列で歩くの?」

5歳くらいから小学校低学年にかけて、子どもから次々と出てくる「なぜ?」「どうして?」。

いわゆる「なぜなぜ期」です。

知的好奇心が育っている証拠だとわかっていても、

夕食をつくっている。

仕事のメールを返している。

下の子の相手もしている。

そんな夕方に「なんで?」が続くと、

「あとでね」

「ママもわからないよ」

「自分で調べて!」

と言いたくなることもあります。

民間学童「こどもクリエ塾」で16年間、子どもたちを見てきたなかで、この「なんで?」が出た瞬間はとても大切にしてきました。

ここにはすでに、「知りたい」があるからです。

勉強というと、大人はつい「何を覚えさせるか」「何を教えるか」を考えます。その前にあるのが、自分から知りたくなることです。

子どもの「なぜ?」に、親が毎回答えを教える必要はありません。むしろ、問いを、もう一度子どもに返してみる。

今回は、家庭ですぐ使える3つの逆質問を紹介します。

目次

子どもの「なぜ?」は、すでに学びの始まり

子どもは、わからないことがあると質問します。当たり前のようですが、これは重要な学習行動です。

発達心理学の研究では、幼い子どもの質問は、単に大人の注意を引くためだけではなく、自分の知識に足りないところを見つけ、必要な情報を取りにいくために使われていることが示されています。

幼児を対象にした研究では、子どもが「なぜ?」と尋ねたあと、大人から因果関係の説明を受けると納得しやすく、説明になっていない答えだと、もう一度質問したり、自分なりの説明を試みたりしました。

子どもは、本当に理由を知りたくて質問しています。

だからこそ、この瞬間を「質問されたから答える」だけで終わらせるのは少しもったいない。「あなたはどう思う?」と返すだけで、質問が考える時間に変わります。

親が毎回「正解」を答えなくていい

誤解しないでほしいのですが、**「親は答えを教えてはいけない」**という話ではありません。

子どもは、大人から得た説明でも理解を深めます。きちんと答えることも大切です。

ただ、いつも

子「なんで?」
親「それは○○だから」

で終わると、子どもの中に生まれた問いを自分で考える時間がありません。

そこで、正解を伝える前に一度だけ、問いを返してみます。それが逆質問です。

流れは、この3つです。

  1. 予想する
  2. 条件を変える
  3. 確かめる

家庭の探究学習で大切にしたいのも、同じ順番です。

今日から使える、3つの逆質問

1|「○○ちゃんは、どうしてだと思う?」

まず、子どもの中にある予想を引き出します。

子:「なんで雨って降るの?」
親:「本当だね。○○ちゃんは、どうしてだと思う?」
子:「雲が重くなって、落ちてくるんじゃない?」

これで十分です。この段階で「違うよ」と直す必要はありません。まず、「そう考えたんだね」「なるほど」と受け取る。

4〜7歳を対象にした研究では、観察したことについて自分なりに説明するよう促された子どもは、その後、より情報を得やすい質問をするようになったと報告されています。特に6〜7歳でその傾向が見られました。

答えが正しいかどうかは、その次です。自分なりに理由を考えてみること自体が、次の学びにつながる。

2|「もし○○だったら、どうなると思う?」

次は、条件を少し変えます。

子:「なんでアリって一列で歩いてるの?」
親:「よく気づいたね。じゃあ、もしみんなバラバラに歩いたら、どうなると思う?」
子:「おうちに帰れなくなるかも」

ここで子どもは、今見えているものから少し離れて、別の状況を頭の中で想像します。

探究では、予想する、試す、結果を見る、考え直す、という行き来が大切です。小1・小2に、大人と同じ仮説検証を求める必要はありません。低学年なら「もし○○だったら?」くらいで十分です。

3|「どうしたら確かめられるかな?」

考えたら、確かめる方法を考えます。

子:「氷って、お湯に入れた方が早くなくなるの?」
親:「どうだろう。どうしたら確かめられるかな?」
子:「冷たい水とお湯に入れて、どっちが先になくなるか見ればいい!」

ここまで来たら、もう探究です。

親が最初から「温度が高い方が早く溶けるから」と説明するところから始める必要はありません。自分で考えて、試して、結果を見る。予想と違ったら、「なんでだろう?」がもう一度出る。

なぜ? → 予想 → やってみる → また、なぜ?

この繰り返しが、学びを深くしていきます。

正解が間違っていたら、どうする?

「間違ったことをそのまま覚えない?」と気になる保護者は多いです。

最後には、正しい情報にたどり着くことも大切です。でも、最初から正解・不正解だけで切らないことです。

「雨は雲が泣いているから」と言ったら、「違います」ではなく、「そう考えたんだね。じゃあ、本当はどうなんだろう。見てみようか」と進めればいい。

図鑑でも、本でも、検索しても、実験できるなら試してもいい。

7〜10歳を対象にした研究では、十分ではない説明を受けたとき、子どもが「もっと知りたい」と追加情報を求める行動も確認されています。すぐ正解を埋めなくても、少し「わからない」を残すことが、次の探索につながる場合があります。

「なんで?」に毎回答える必要もない

夕方17時、夕食の最中に「地球ってどうして丸いの?」と聞かれて、毎回そこから探究を始めるのは無理です。

「それ面白いね。今は手が離せないから、あとで一緒に調べよう」でいいと思います。

忘れそうなら、冷蔵庫やホワイトボードに「今日のなんで?」と書いておく。週末に1個だけ調べてもいい。全部に付き合う必要はありません。

大切なのは、「そんなこと聞かないの」ではなく、「面白い疑問だね」と一度受け止めることです。

親が子どもの興味や選択を尊重する関わりは、学習への動機づけや参加と関連することが、メタ分析でも示されています。日本の3〜12歳を対象にした研究でも、親の応答的な関わりと子どもの知的好奇心との関連が報告されています。

こどもクリエ塾でも、先生はすぐ答えを教えない

こどもクリエ塾でも、子どもから質問されたときに、先生がすぐ正解を言わない場面はたくさんあります。

「先生、これどうなるの?」と聞かれたら、「どうなると思う?」と返す。

実験でも、「これを入れたらどうなる?」と聞く前に、「まず予想してみよう」と言う。

「絶対こうなる!」と言ったのに、全然違う結果になる。すると、「えっ、なんで!?」が出る。

先生から答えを聞いたときよりも、自分の予想が外れたときの方が、その理由を知りたくなることがあります。 16年間の現場で、何度も見てきました。

通っているご家庭にとっては、そのやり取り自体がすでに探究です。

「勉強好き」にするなら、教える前に「知りたい」をつくる

低学年のうちは、漢字を何個覚えた、計算を何問解いた、だけではなく、「なんで?」を持てることも大切にしたいと思っています。

知りたい。考えたい。試してみたい。

その気持ちがあれば、本を読む理由も、調べる理由も、書く理由も生まれます。勉強が、親や先生から与えられるものだけではなく、自分の疑問を解決するための道具になっていきます。

ただし、逆質問をすれば勉強好きになる、という単純な話ではありません。入り口をつくる、という程度で十分です。

HAKOLAB(はこラボ)でも「なんで?」から始める

HAKOLAB(はこラボ)の体験も、正解を覚えるところからは始めません。

まず、見る。触る。やってみる。そして「なんで?」が出る。

体験キットで試し、動画で確かめ、もっと気になったことはAI先生に音声で聞くこともできます。ライブレッスンや、はっけんプランのオンライン放課後クラブでも、先生が一方的に答えを教えるだけではなく、「どう思う?」「どうしたら確かめられる?」と一緒に考えることを大切にしています。

こどもクリエ塾で続けてきた「好き」「なんで?」から学びを始める考え方を、通えないご家庭の放課後にもつなげるための選択肢です。教室の代わりではありません。

自宅の放課後に取り入れたい方は、こちらからご覧ください。

HAKOLAB をはじめる(https://hakolab.kids/start/)

今日から使うなら、この3つ

子どもから「なんで?」と聞かれたら、すぐ検索する前に一度だけ聞いてみてください。

  1. 「○○ちゃんは、どうしてだと思う?」
    まず、自分なりに予想する。
  2. 「もし○○だったら、どうなると思う?」
    条件を変えて考えてみる。
  3. 「どうしたら確かめられるかな?」
    調べたり、試したりする方法を考える。

親が先生になる必要はありません。全部知っている必要もありません。

「ママもわからない。どうなんだろうね」から始まる学びもあります。

この記事を書いた人

遠藤奈央子

株式会社ビジョンゲート代表取締役。2011年より民間学童「こどもクリエ塾」を運営し、16年間、子どもたちの放課後の学びと成長に携わる。一般社団法人民間学童保育協会代表理事。社会福祉士。

著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方』(講談社)、『「民間学童」の作り方』(日本実業出版社)。

こどもクリエ塾では、子どもからの「なんで?」を大切にした放課後を積み重ねています。
HAKOLAB(はこラボ)では、自宅でも「予想する・変えてみる・確かめる」学びをお届けしています。

参考文献・参考情報

  • Chouinard, M. M., Harris, P. L., & Maratsos, M. P. Children’s Questions: A Mechanism for Cognitive Development. Monographs of the Society for Research in Child Development, 2007.
  • Frazier, B. N., Gelman, S. A., & Wellman, H. M. Preschoolers’ Search for Explanatory Information Within Adult-Child Conversation. Child Development, 2009.
  • Ruggeri, A., et al. Effects of Explanation on Children’s Question Asking. Cognition, 2019.
  • Mills, C. M., et al. “I Want to Know More!”: Children Are Sensitive to Explanation Quality When Exploring New Information. Cognitive Science, 2019.
  • Wang, Y., et al. A meta-analytic review of the relationships between autonomy support and positive learning outcomes. Contemporary Educational Psychology, 2023.
  • Lazonder, A. W., et al. Individual Differences in Children’s Development of Scientific Reasoning Through Inquiry-Based Instruction. Frontiers in Psychology, 2020.
  • Naito, M., et al. Parental responsiveness and children’s trait epistemic curiosity. 2023.

※「逆質問をすれば勉強好きになる」という単純な因果関係が確認されているわけではありません。本記事では、子どもの質問行動、好奇心、自律性支援、探究的学習に関する研究と、こどもクリエ塾での実践経験を分けて紹介しています。

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