「保育園の頃より、小学生になってからの方が夕方が大変」
「帰った瞬間から『宿題は?』『明日の準備は?』『早くお風呂!』ばかり言っている」
小1・小2の保護者から、よく聞く悩みです。
保育園の頃は、迎え、夕食、お風呂、寝かしつけ。それだけでも十分大変でした。小学校に入ると、宿題、プリント、明日の時間割、鉛筆、水筒、給食セットが足されます。子どもも学校と学童で疲れている。親も仕事のあとで疲れている。
夕方は、疲れた大人と疲れた子どもが、2〜3時間にたくさんのことを詰め込む時間です。
民間学童「こどもクリエ塾」で長く小学生の放課後を見てきましたが、夕方が回らないとき、親の段取りが悪いのでも、子どもがだらしないのでもありません。帰宅してから寝るまでに、やることを入れすぎていることが多い。
全部を完璧にこなさなくていい。夜にやらなくていいことを減らす。毎日考えなくても動ける流れをつくる。今回はその話です。
小学生になると、夕方が急に細かくなる

「小1の壁」は、預かり時間が短い、仕事と重なる、として知られています。実際に始まってから効いてくるのは、家庭で担う細かな管理です。
宿題、音読、丸付け、プリント、翌日の時間割、持ち物、提出物、習い事の準備。一つは数分でも、全部を夜に置くと大きくなります。
小1・小2は、「次は何をすればいいか」を全部自分で判断するのはまだ難しい。そこで親が「次はこれ」「早くして」の指示役になる。毎日続くと、親は夕方ずっと指示する人、子どもは言われるまで動かない、になりやすい。
低学年は、声かけを増やすより、流れを固定する方がラクです。
18時帰宅なら、この順番でも十分
帰宅時間も就寝時間も、家庭で違います。これは正解の時間割ではありません。大切なのは、順番をなるべく毎日同じにすることです。
| 時間 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 18:00 | 帰宅・手洗い・荷物を出す | 学校のものを出すまでを一連にする |
| 18:10 | 親は夕食準備、子どもは休憩 | 10〜15分、何もしなくてもよい |
| 18:30 | 夕食 | 宿題の注意より、まず一日の話 |
| 19:00 | 宿題の確認・明日の準備 | 全部完璧に見なくてよい |
| 19:30 | お風呂 | 夜の後半に予定を足しすぎない |
| 20:15 | 自由時間・読み聞かせ | 親子ともクールダウン |
| 20:30〜21:00 | 就寝 | 全部終わらせるより睡眠を優先する日があってよい |
帰宅してすぐ宿題、にしなくていい。学校、学童、習い事。低学年は一日、集団の中でかなり頑張っています。帰った瞬間に「ランドセル開けて」「宿題」「早く」と畳みかけると、夕方のスタートから疲れます。
こどもクリエ塾でも、帰ってきた子が少し落ち着いてから次へ移ることは珍しくありません。10分休むことで、その後が20分早く進むこともあります。玄関で必ず開ける、金曜夜に必ず家事を回す、といったやり方は家庭によって合いません。合う形に変えてください。
コツ1|帰ったら最初にやることだけ固定する
一日の予定を全部自分で管理させようとしなくていい。まずは一つ。帰ったら、出すものを出す。
連絡帳、プリント、宿題、水筒を、決まった場所へ。トレイを一つ置いて、「ママに渡す」ではなく「ここに入れる」。親が帰るたびに「プリントない?」と聞く回数は減ります。毎回指示するより、家の中にルールを置いておく感覚です。
コツ2|宿題を見ると、全部教えるを分ける
問題を確認し、字を直し、丸付けし、間違いを教え、やり直しまで。これを毎日やると、夕方は足りません。
先に、今日どこまで担当するかを決める。「今日は丸付けまで」「字は注意しない」「わからない問題を全部その場で解決しない」。宿題は、親子関係を悪くしてまで完璧に仕上げるものではありません。
平日の夜は、「終わらせる」と「教え込む」を分ける。丸付けの境界線は、別の記事にまとめています。
コツ3|明日の準備は、親が全部入れる日から、少しずつ確認へ
4月は、親が全部ランドセルに入れてよい。ずっとそれだと、子どもは時間割を見る機会がなくなります。
こどもクリエ塾で大切にしてきたのは、代わりにやるのではなく、自分でできるようになるまで伴走することです。
「国語入れた?」ではなく、「明日の1時間目は何かな?」。子どもが「国語」と言ったら、「じゃあ何がいる?」と続ける。最初は時間がかかります。この数分は、明日の準備であると同時に、自分のことを管理する練習です。
親が全部やって5分で終わらせる日があっていい。余裕がある日に、10分かけて任せる。毎日後者にしなくて大丈夫です。
コツ4|夕食は、作ることより、食べられる状態にする
ワンオペの夕方で、いちばん削っていいのは家事の完成度です。平日を毎日一から手作りしなくていい。惣菜、冷凍、ミールキット、前日の残り。ご飯と汁物と買ってきたおかずでも十分です。
18時半に豪華な夕食を出すことより、家族が機嫌よく食べられること。30分料理して「早くして」と怒り続けるくらいなら、10分で食卓を整えて一緒に座れる日の方がよいことがあります。
手抜きは、何もしないことではありません。夕方の限られた時間を、何に使うか選ぶことです。
夕方をラクにする一番の方法は、夜にやること減やすこと

18時から21時。工夫しても3時間です。その中に、夕食、宿題、明日の準備、お風呂、家事、会話、就寝準備を全部入れる。そもそも無理があります。
長く放課後を見ていて感じるのは、家庭の夜をラクにするには、放課後をどう過ごすかが効く、ということです。
宿題が放課後に終わっている。学校のことを誰かに話している。少し体を動かしている。何か面白いことに夢中になった時間がある。それだけで、帰宅後の空気は変わります。時短ではなく、夜に余白を戻すことです。
すべてを家庭だけで抱えなくていい
2011年から、働く家庭と子どもの放課後を見てきました。働く親がもっと頑張れば解決する、という問題ではありません。
仕事、迎え、夕食、宿題、お風呂、翌日の準備、寝かしつけ。これを毎日一人で完璧に回すこと自体に無理があります。学童、習い事、家事サービス、オンライン。使えるものは使っていい。
子どもの放課後を支える選択肢は、親の負担を減らすためだけのものではありません。親に余裕ができることは、子どもにとっても大きいです。通っているご家庭にとっては、教室での放課後がすでにその支えです。
HAKOLABがつくりたいのも、夕方の余白
HAKOLAB(はこラボ)は、15年以上、放課後を見てきた経験から生まれました。家庭にいながら、実験する、話す、宿題に取り組む、気になったことを調べる。放課後を、親が帰ってくるまで待つ時間だけにしない。
子どもが自分から取り組める時間が増えると、結果として夜にも少し余裕が生まれます。それが目的の一つです。教室の代わりではありません。通えない距離や時間のご家庭の、放課後の選択肢です。
「全部自分でやらなければ」と思ったら、まず一つ、夜にやらなくてもいいことを探してみてください。夕食を作らない日でもいい。宿題を全部直さない日でもいい。明日の準備を子どもに任せる日でもいい。
夕方を乗り切るコツは、予定表を完璧に守ることではありません。親も子どもも、毎日無理なく続けられる形にすること。それが、小1・小2の家庭にとっていちばん現実的な流れだと思います。
自宅の放課後に取り入れたい方は、こちらからご覧ください。
HAKOLABをはじめる(https://hakolab.kids/start/)
この記事を書いた人
遠藤奈央子
株式会社ビジョンゲート代表取締役。2011年より民間学童「こどもクリエ塾」を運営し、16年間、子どもたちの放課後の学びと成長に携わる。一般社団法人民間学童保育協会代表理事。社会福祉士。
著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方』(講談社)、『「民間学童」の作り方』(日本実業出版社)。
こどもクリエ塾では、帰ってすぐ全部やらせるのではなく、流れをつくってから次へ進むことを大切にしています。
HAKOLABでは、自宅の放課後に取り組む時間をつくり、夜の余白を戻すことを目指しています。
