「小学生になったら、毎日どれくらい勉強させればいいんだろう?」
「学年×10分って聞くけれど、うちの子は5分も集中が続かない」
新一年生や小学1・2年生の保護者から、家庭学習の時間についての悩みをよく聞きます。
周囲から、
「毎日1時間、先取りしている」
「通信教育を2つやっている」
と聞くと、焦ってしまうこともあると思います。
でも、民間学童「こどもクリエ塾」で16年間、低学年の子どもたちを見てきて感じるのは、小1・小2の時期に、長時間の家庭学習や「学年1位」のような結果を最優先にする必要はないということです。
この時期に大切なのは、
短い時間でも、自分で始めて、集中して、終える経験を重ねること。
その目安として、家庭ではまず1日15分くらいから始めるのがおすすめです。
15分は、科学的に証明された最適時間ではありません。毎日の生活に入れやすく、終わりが見えるサイズです。
小1・小2で優先したいのは「結果」より「自分で始める力」
小学校低学年は、まだ自分で時間を管理したり、遊びから勉強に気持ちを切り替えたりする力を育てている途中です。
宿題を始めるだけでも、
遊びをやめる。
ランドセルを開く。
プリントを出す。
鉛筆を持つ。
いくつもの切り替えがあります。
そこに、
「もっとやりなさい」
「毎日これだけやらないと」
と量を増やしすぎると、勉強そのものより「やらされている」という感覚が強くなることがあります。
自律性を支える関わりについての研究では、親がすべてを決めるより、子どもに一定の選択肢を与えたり、本人の考えを尊重したりすることが、自発的な学習への取り組みと関連するとされています。
低学年のゴールは、早く大量にこなすことだけではありません。
「自分で始める」「自分で少し決める」経験を積むこと。
量を増やすのは、そのあとで十分です。
宿題そのものが始まらない日の声かけは、別の記事にまとめています。
「小1・小2が宿題をやらないときに試したい3つの工夫」
なぜ「15分くらい」から始めるのか
15分は、すべての子どもに共通する絶対的な集中時間ではありません。
5分で十分な子もいれば、20分、30分集中できる子もいます。
それでも、家庭学習のスタートとして「15分くらい」が使いやすいのには、3つの理由があります。
理由1|「終わりが見える」と始めやすい
「今日は45分勉強しよう」と言われると、大人でも少し気が重くなります。
でも、「まず15分だけ」なら、取りかかるハードルは下がります。
特に低学年は、勉強そのものより、始めるまでに時間がかかることがよくあります。
時間を短く区切ることで、「これならできそう」と思えることが大切です。
理由2|集中して終える経験をつくりやすい
長時間机に座っていても、途中から鉛筆が止まり、ぼんやりしているのであれば、学習時間が長いこと自体にあまり意味はありません。
それよりも、
15分集中して取り組む。
終わったら一区切りつける。
この経験を繰り返す方が、低学年では習慣にしやすいことがあります。
「長く座る」より「短く集中する」。まずはこちらを目標にします。
理由3|毎日の生活に入れやすい
家庭学習で一番難しいのは、「いい教材を見つけること」より、毎日の生活の中に時間を確保することです。
学校、学童、習い事、夕食、お風呂。小1・小2の放課後は意外と忙しい。
その中でも15分程度なら、
おやつのあと。
夕食の前。
お風呂の前。
など、家庭ごとに置きやすい時間を見つけられます。
続けるためには、無理なく毎日に入るサイズであることが大切です。
今日からできる「15分家庭学習」3つの工夫

工夫1|「全部やって」ではなく、まず始める
「宿題全部やっちゃいなさい」ではなく、
「まず算数のプリントを出そうか」
「最初の1問からやってみよう」
と、スタートを小さくする。
目的は、1問だけで終わらせることではありません。始めるところのハードルを下げることです。
一度始めれば、そのまま進む子もいます。
工夫2|時間・場所・順番を少し選ばせる
やることすべてを子ども任せにする必要はありません。
でも、
「算数と国語、どちらからにする?」
「おやつの前と後、どっちにする?」
「今日はリビングと机、どっちでやる?」
くらいの選択肢は渡せます。
枠は親がつくり、その中で子どもが少し決める。
それだけでも、「やらされている」感覚は変わります。
工夫3|15分を目安に、一度区切る
15分たったら、いったん様子を見ます。
まだ集中していて「もう少しやりたい」というなら、続けてもいい。
疲れているなら、少し休む。
宿題など、その日に終わらせる必要があるものは、休憩を入れて再開する。
大切なのは、「15分たったら絶対にやめる」ことではなく、長時間だらだら続けないことです。
タイマーを使えば、親が何度も「集中して」「まだ終わらないの?」と言わなくても、時間の区切りをつくりやすくなります。
「家庭学習15分」で何をする?
15分全部をドリルにする必要はありません。
たとえば、
- 学校の宿題
- 計算や漢字
- 読書
- 今日わからなかったことの復習
- 興味を持ったことを調べる
など、その日の状況によって変えて構いません。
低学年では特に、家庭学習を「学校の勉強を追加する時間」だけにしないことも大切です。
本を読む。
地図を見る。
図鑑を開く。
「これ何だろう?」を調べる。
そうした時間も、家庭での学びです。
親が毎日15分、横につく必要はありません
「15分ならできそう」と思っても、親が毎日その15分をつきっきりで見るとなると、話は別です。
仕事をしながら、夕食をつくりながら、毎日落ち着いて学習に付き合う。簡単ではありません。
だから、
最初だけ声をかける。
タイマーをセットする。
困ったときだけ聞ける距離にいる。
そのくらいでも十分です。
また、学童やオンラインなど、ほかの子も学習している環境を利用する方法もあります。
こどもクリエ塾でも、周りの子が宿題を始めることで、自分も自然に始まる子をたくさん見てきました。
「一人で全部できること」だけをゴールにしなくてもいいと思います。
こどもクリエ塾でも、HAKOLABでも「短く集中する時間」をつくる
こどもクリエ塾の宿題時間では、周りの子が取り組む環境が、自然と「自分も始めよう」につながっていきます。通っているご家庭にとっては、その時間がすでに実践です。
HAKOLAB(はこラボ)の「おべんきょう」でも、小1・小2を中心に、それぞれの宿題や家庭学習に少人数で取り組みます。全員が同じ問題を解く一斉授業ではありません。それぞれが自分の課題を持ち込み、わからないところがあれば先生と一緒に考えます。
家で一人ではなかなか始めにくい子でも、画面の向こうで他の子が取り組んでいると、「じゃあ、自分もやろう」と始めやすくなることがあります。
短い時間でも集中して取り組み、そのあと別のことに切り替える。
教室に通えない距離や時間の都合で、自宅の放課後に同じリズムを置きたいご家庭のための選択肢が、HAKOLABです。教室の代わりではありません。
まずは「毎日15分」からで十分
低学年の家庭学習は、最初から量を増やす必要はありません。
まずは、
毎日15分くらい、集中して取り組む時間をつくる。
そして、
自分で始める。
少し自分で決める。
終わったら一区切りつける。
この繰り返しです。
家庭学習は、学年1位を目指すためだけにあるものではありません。
自分で学ぶ習慣をつくるための時間。
小1・小2では、まずそこからで十分だと思います。
この記事を書いた人
遠藤奈央子
株式会社ビジョンゲート代表取締役。2011年より民間学童「こどもクリエ塾」を運営し、16年間、子どもたちの放課後の学びと成長に携わる。一般社団法人民間学童保育協会代表理事。社会福祉士。
著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方』(講談社)、『「民間学童」の作り方』(日本実業出版社)。
こどもクリエ塾では、宿題時間も含めた放課後の過ごし方を大切にしています。
HAKOLAB(はこラボ)では、自宅の放課後でも短く集中する学習時間をお届けしています。
参考文献・参考情報
- Ryan, R. M., & Deci, E. L. Intrinsic and extrinsic motivation from a self-determination theory perspective. Contemporary Educational Psychology, 2020.
- Niemiec, C. P., & Ryan, R. M. Autonomy, competence, and relatedness in the classroom. Theory and Research in Education, 2009.
- Patall, E. A. Constructing motivation through choice, interest, and interestingness. Journal of Educational Psychology, 2012.
- こどもクリエ塾「放課後の過ごし方」
- HAKOLAB(はこラボ)サービス概要
※15分は、すべての子どもに共通する科学的な推奨時間ではありません。本記事では研究知見と、こどもクリエ塾での実践経験を分けて記載しています。
